戦没軍人230万人(日本兵)のうち、戦病死者が50%以上、餓死者が37%以上を占めたという異常さ(読書感想)

先の続きで吉田裕著「日本軍兵士」(1971、中公新書)第1章からアジア・太平洋戦争(日中及び太平洋戦争)での戦没者数310万人の内訳を見てみよう。普通、戦没者というのは敵と戦って戦死した人を考えるが、この戦争ではそう単純な話ではないのだ。日本政府の調べでは、戦没者310万のうち、軍人・軍属は230万人で、外地の一般邦人約30万人、空襲などによる日本国内の死者が約50万人である。  軍人・…

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ロバート・D・エルドリッヂ著「オキナワ論」(新潮新書)を読んで

  米軍が日本に常駐することは、どういう意味合いなのか。  そのことは、東アジアや全世界あるいは地域の安定に非常に寄与しているということ、もし米軍が日本にいなくなった場合、軍事的に平和が保たれるのか、そうしたことを、自分のこれまでの経験や職歴、研究者としての知識から、熱情を込めて自分の言葉で説明している。とても説得力ある文章だ。集団的自衛権を認める安倍政権を支持している。普天間飛行場は、軍…

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人類紀自然学編集委員会編著「人類紀自然学」(共立出版)を読んで

人類紀とは何かと尋ねられれば、人類が生まれてからの歴史ということだろう。それは地質年代で言うと、第四紀。それ以前は、新第3紀、古第3紀と呼ばれる。また、第4紀は完新世と更新世とからなる。完新世は沖積層が堆積した時代であり、更新世は洪積層が堆積した時代と言えるだろう。この本はこれらの時代の自然現象である、気候変化や地磁気変化、及びそれに伴う水中微生物である貝型虫や珪藻、化石などについて、それらが…

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岩波科学ライブラリー、中川毅著「時を刻む湖」(2015年)を読んで

14Cからその地層が生成された年代が推定されるというのは、今の中学・高校の理科教科書に載っており、案外簡単な作業ではないかと、素人の考えで思っていた。だが、この本を読めば、 14Cから年代を測定するのも、科学者の不屈の根性や集中力、それにとびぬけた頭脳や若さが必要なのだなという思いを強くした。  大気中に含まれる炭素は質量数12の12Cがほとんどなのだが、その中に質量数14の放射性原子で…

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稲田倍穂著「日本列島の地震と地盤」(2014年、鹿島出版会)-東西圧縮力の解明

 本というものはある面、衝撃性がなければならないのだろう。自分の知らないことを、丁寧に教えてくれるような本もあれば、面白くて、興味深く読める本もある。学術論文のような、調べ・研究したことを淡々とつづりながらも、そこに未知の発見が隠されているものもある。この本はどちらかというと、面白くて興味深く読める本だが、衝撃的ともいえる。  著者は90歳の、一線を20年前位に引退した技術者だ。研究者とい…

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湊正雄著「湖の一生」を読んで

 中学・高校生向けの地球の歴史を題材にした読み物的な書物だ。1965年発刊。著者は北海道大学の理学部の教授だと思うが、とても丁寧なものの言い方で、語り掛けるようにとっつきにくい題材をわかりやすく理解できるように伝えている。  最初の出だしがとても印象的だ。サロマ湖の水位が上がり洪水が起きて、いつもなら湖水の出口にたまった砂を少しとり除くと、湖水の水がどっと海へ流れ出るのだが、その年に限って…

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村上春樹著「海辺のカフカ」を読んで

 村上春樹著「海辺のカフカ」を読んだ。結論として、いろいろ不可解な点が疑問として残り、すっきり解決しない。だから、もう一度読んでみないとわからないと感じた。  その不可解なことというのは、最初、学校の女の先生が生理で、大量の血を流し、それを手ぬぐいでふき、それを生徒のナカタが見つけ、そのナカタを先生が思い切りひっぱたく。もう、その時点から、催眠術のようなものに生徒たちがかかり、ナカタはそ…

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村上春樹「ノルウェイの森」を読んで

村上春樹の小説「ノルウェイの森」(講談社文庫)を読んだ。この小説の終わりに近づくにつれ、youtube上でアップロードされている、森昌子が歌う”さよならの海”の動画の背景が気になってしよがなかった。それは、この動画の若い二人の抱擁シーンや激しく泣くシーンが印象的だったからだ。その画面をまず確認したい。 youtubから森昌子”さよならの海” https://youtu.be/PAOlyU…

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佐々木毅著「学ぶとはどういうことか」(講談社、2012)を読んで

 学ぶことの意義、意味合いをこれまでの自分の経験や豊富な読書量、専門的知識を駆使して、丁寧に説明している。その基本にある論理展開が、福沢諭吉の「学問のすすめ」だ。この本の先進性に着目しながら、学ぶことが、人生の再設計につながることや、生きる喜びにつながることを、エッセイ風に、しかも論理的に述べている。  詳しいことは、覚えていないが、最後まで通読するのは楽しかったし、少し重くもあったが、も…

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柴崎友香著「春の庭」を読んで

この著者は大阪・大正区出身で大学が府立大学と言うことなので、大学卒業まで大正区にいたのではないだろうか。「春の庭」の舞台は東京・世田谷なのだろうけど、著者の基本的なものの考え方と言うのは、とても大正区的なのだ。  何が大正区的かと言うと、物事がほとんど展開せずに、1箇所でとどまっている点や塀越しに隣の庭を覗く点や市営住宅の13階がでてきたり、話し方などからそう感じるのだ。大正区という…

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村上春樹著「風の歌を聴け」(講談社、1979)を読んで

村上春樹著「風の歌を聴け」を読んだ。僕はこの本で村上氏の本は2冊目だ。1冊目は最新刊の「女のいない男たち」。「風の歌を聴け」は、彼のデビュー作だ。だから彼の最新作と最も古い本を読んだことになる。これらの本には幾つかの共通点がある。それは主にお金持ちの、インテリが主人公で、女が出てきて、何度もsexを楽しんで、優雅なそうな生活を送っていることだ。それと、筋書きと言うのがそれほどなくて、言葉そのも…

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安倍宏行著「絶望のテレビ報道」(PHP新書)を読んで

 この著者はフジテレビで20数年間報道畑を歩んで、ニューヨーク支店長や一時滝川クリステルとコンビを組んでニュースキャスターを務めたことがあるらしい。  内容はテレビがインターネットに置き換わりつつある状況や、テレビが視聴率に縛られて身動き出来ない状況を、フジテレビの現場経験から書いている。 この人は、最近になって、フジテレビを退職しており、新しく、ウエブ・メディアを作った。それはJapa…

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村上春樹、「木野」(短編集「女のいない男たち」より)を読んで

 この作品は良くわからなかった。多分、主人公の木野も最初、わからなかったのだろうけど、旅にでて、その不可解なカミタと言う人物の言葉を理解できたのだろう。でも、僕にしたら、理解も感じることもできなかった。多分、著者はこういうことを言いたかったのかな。  世の中には悪い面と良い面の両義性がある。正しくないことをしないことは正しいとは限らない。それは欠けている。 最後に、木野はこうつぶや…

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村上春樹著「独立器官」(短編集”女のいない男たち”より)を読んで

 この短編集は6編からなっていて、私は丁度3編目を読んだところだ。その3編目が「独立器官」だ。3編目までを読んで感じるのは、この著者は人間の深層心理をとても丁寧に表現していると言うことだ。ことに若くて、やや上流家庭の男女の心理描写は得意とするところなのだろう。 「独立器官」は、女の遊び相手に不足しない独身整形外科医が、不倫だと思っていた相手を本当に好きになり、恋焦がれるようになる。そんな頃…

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死について

ルソーの”エミール”より死についての文章を抜粋しました。 『もし、私たちが死なないものとして生まれているとしたら、私達は非常に惨めな存在になるに違いない。死ぬのはつらい。確かにその通りだ。しかし、この世にいつまでも生きているわけではないこと、もっとよい生活がこの世の苦しみを終わらせてくれることを期待するのは楽しいことだ。地上で永遠の生命を与えられたとしても、誰がそういう悲しい贈り物を受け取…

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幸福論-能力と欲望の均衡を保つ

『わたしたちの心の動きは、肉体が変化するのと同じように、たえざる流れのうちにある。最も幸福な人とは、最も苦しみを味わうことの少ない人だ。最も不幸な人とは、最も喜びを感じることの少ない人だ。この世における人間の幸福は消極的な状態に過ぎない。幸福は人が味わう苦しみの最小量でによって計られるべきだ。』 これは、フランスの思想家、ジャンジャックルソーが”エミール”で述べている言葉です。 『苦…

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森昌子著「明日へ」(幻冬舎、2006年刊)を読んで

 読んだ感想がやるせなさというのか、気が重くなるというのか、森昌子のファーンであるのがつらくなるような、あるいは自分の言動や思いが全て否定されたつらさと言うのか、どう森昌子と向き合えばいいのか、わからなくなってしまう本だった。これから、森昌子への文章が書けなくなりそうだ。いや私には、彼女のことについてしゃべる資格なんて無い様に感じる。 「私は間違っていた」。わたしはあほであった。私は・・・…

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"過去も未来も夢も捨てる"そういう生き方

過去を捨てなさい、あるいは未来を捨てなさい、こういわれて、人は戸惑うに違いない。でも、この本を読めば、納得できる。アルボレッム・スマナサーラの著書「執着しないこと」(中経出版、2012年12月)という本だ。僕は前にも、この人の本を読んで、感動して、それでブログ名を”今を、精一杯生きる”にしたのだ。だから、この本は2冊目だ。 要は仏教の”無常”と言う思想に基づいた考えを今の世情に合わせて噛…

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悔いなく死ぬため、リハーサルではない生き方を(読書感想)

 今日は、私が、はっとしてびっくりした言葉を書きます。アルボムッレ・スマナサーラ著「老いと死について」(大和書房,2012)より。 死について、怖がる理由というのは、今の現状の幸福感を手放したくないと言うことが、一番大きな理由としていますが、その他に指摘しているのが、人生に満足していないこと。 「人生こんなはずではなかった」「まだたくさんやりたいことがあったのに」と、死に直面した人は言う…

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「成功おじさん」の最優先ルール(チャーリー・ジョーンズ著)を読んでの感想

 この本はいい本だ。自分の経験から裏打ちされたことを述べている。全て、成功者としての実体験に基ずく。成功者とは何か。この人の、言外の雰囲気からするなら、自分なりの、人生への満足感、充実感、あるいは他者からの尊敬に満ちた言葉、あるいは他者への継続した働きかけ、そうした人と人との関係がもたらす、関係性のよさみたいなものだろうか。そして、家族。子どもとの関わり、自分の子どもが、自分の意思と相関的にいい…

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「「成功おじさんの」最優先ルール」(チャーリー・ジョーンズ著)を読んで②

 「「成功おじさんの」最優先ルール」(チャーリー・ジョーンズ著)を読んで、その中で、やる気は人生に欠かせない三つの決断から湧き出してくるとのこと。  僕も、心の中では、起業ということを考えつつも、どう、踏ん切りをつけていいのか不明なのだ。だから、こうした本を読むことで、心の後押しを願っているのだ。  彼が言うには、人生における決断事項は、三つしかない。その三つとは、1、誰と共に人生を送るか …

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「成功おじさんの最優先ルール」(チャーリー・ジョーンズ著)を読んで①

「成功おじさんの最優先ルール」(チャーリー・ジョーンズ著)を読んで、この本で、”よし、やってみよう”と思ったことを抽出してみた。    まず、「誰に対してもポジティブなことを言うこと」  これなら出来そうだ。 「あらゆる出来事に対して、何かポジティブなことを見つけること」   告白して無視されたことに対して、ポジティブに考えよう。それは否定されたことではなくて、保留だ。そう考えれ…

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セネカ著「心の平静について」の抜粋

 2~3日前ごろから、近くの昭和山公園で、朝散歩し、文庫本を広げている。通路から少し外れた、円形の石段の上で、蚊と合いまみえながら、それでも鳥のさえずりや、朝のすがすがしい空気の中で本を読むと、少し難しい本でも、案外頭の中に入ってくる。   セネカ著の「心の平静について」を今日は読んだ。その中で、印象に残った言葉を、抽出しました。 心の平静とは 「・・・すでに、われわれが過ごしてきた…

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セネカ「死は、人生から出て行くのではなく、人生から引きずり出される」と言う論

人間の生は短い、と言う言葉は若いころから聞かされてきた。だが、それは言葉としては分かっても、実感としてなかったのが、今までであった。だが、57歳という年齢になり、仕事からはみ出されてしまうと、それはジワジワ体や心をむさぼるように接近してくる。  セネカ著「人生の短さについて」では、死に近づいた人間をこう言い放っている。 「老いぼれた年寄りたちは、たとえ僅かな年月でも付け加えられるよ…

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