「一億総活躍社会」? 安倍首相のおかしな逆転した発想だ

安倍首相による臨時国会の所信表明演説を朝刊で読んだ。最もらしいこれまでの成果を羅列しているが、やはり一億総活躍社会という言葉をいつまでも性懲りもなく使い続けている、日本社会のありように危機感を感じざるをえなかった。

 この演説を朝日新聞紙から抜粋すれば次のようである。
「新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。みんなが横並び、画一的な社会システムの在り方を根本から見直していく必要があります。多様性を認め合い、全ての人がその個性を活かすことができる。そうした社会を創ることで、少子高齢化という大きな壁も、必ずや克服できるはずです。
 若者もお年寄りも、女性や男性も、障害や難病のある方も、更には、一度失敗した方も、誰もが思う存分その能力を発揮できる、一億総活躍社会を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか。」
なかなかいいことを言っていると思えるが、根本的な思考がおかしい。なぜ、日本政府とあるいは内閣と一緒になって、そういう社会を創り上げねばならないのだ。戦前、国家総動員法とかあって、詳しくは知らないが、国民を一つの方向へ導き、それに反対する人々を牢屋へ放り込んだ。国と国民が一致団結して何かをしようとすること自体が、人々の多様性と逆行するものだ。中国や北朝鮮は国が方針を決めて、それに従わない人々を抹殺したり、牢屋へ放り込んだりする。国が多様性を認め、それぞれの場面で人々が活躍するのを支援します、という話をするのは間違っていない。しかし、それを国と国民がともに創り上げましょうとなると、これは国民の自由な思考や行動を制限するものであり、国が人の生きざままで介入することになりかねず、間違っている。

 昨日、朝日新聞のオピニオンのページで元自民党の中村喜四郎衆議院議員はそのインタビューの中で安倍内閣についてこう話している。「自民党は、おそろしく権威主義的になってしまいました。反対意見を排除して、敵とみなした者を厳しく攻撃する。総裁選で安倍晋三首相と争った石破茂さんは、参院選であまり応援演説を頼まれなかった。党がそういう雰囲気をつくっているようにように見えます。・・・政府内では内閣人事局に人事を握られた官僚が、首相官邸を向かざるを得ないシステムができあがった。森友・加計問題が象徴的ですが、忖度政治はますます強まるでしょう。政治にまともな議論がなくなったのは深刻です。消費増税や財政再建についても、先の見通しが立たないまま、言っていることがころころ変わる。一番問題なのは北方領土でしょう。2島返還、あれはない。自民党が長年主張してきた4島返還を突然変えた。領土問題は国の根幹で、譲ってはいけないところだ。」

 例えば、国の権威が強まるにしたがって、国の指針と違う、アンチ「一億総活躍社会」を目指すものは、それは排除されるということだ。私は活躍など興味ないと言えば、差別され、排除されるかもしれない。多様性と言葉では優しく言っていても、実際は、ほとんど議論もない多様性であり、上が決めた多様性の可能性があり、しかも官僚は内閣の顔色ばかり気にしているので、言葉とは裏腹に、国民は国の指針の下の、表面的な多様性になりかねない。

 普通の感覚では、総理大臣が「一億総活躍社会」を作りましょう、とは言わないし、言えない。なぜなら、主権は国民にあり、国民が主体だから。安倍首相の言葉は、内閣が国民の上に立って、国民を扇動しているように映る。これは憲法改正発議にも通じる、安倍首相の逆転した感覚だろう。

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