石木ダム問題ブックレット編「ホタルの里を押しつぶすダムは要らない」(花伝社,2015)を読んで

 ダム協会の2016年データによれば、今現在新設中のダムは87か所に及んでいる。この数字は日本のあちこちでダム建設が進んでいる現状を示している。しかし、ダムはその時間や建設費用、住民の立ち退きや財産の処分など多くの問題を含んでいる事業でもある。それは公共事業として、国や地方自治体の税金から支出されている。それが公共事業として本当に公共に役立つことなら、住民も市民もそれに同意するだろう。しかしあちこちで反対が叫ばれているのはどうしてだろう。それは地域住民のエゴだろうか、あるいは移転費用を多くとろうとしているからだろうか。

 この冊子に出てくる石木川というのは九州の長崎県にある川柵川の支流で2級河川のようで、そこに下流域の川柵町の洪水被害の防止(治水目的)と佐世保市の給水を目的(利水目的)にダムを建設しよと、佐世保市と長崎県が立案したようだ。最初に建設が持ちあがったのが1962年(昭和37年)だ。治水目的というのは、100年に一度の大雨でも洪水が起きないようにするためだとしている。利水目的というのは将来の佐世保市の水不足を解消するためのものだとしている。

 しかし提出されたデータからは佐世保市の水不足の予想がでたらめなのが明らかにされている。佐世保市が予想した水需要が過大に見積もられ、実際の水需要とは一致していないのだ。水の節約や給水人口そのものもかなり減少して、水不足への心配が少なくなっているのだ。一方、治水に関しても、100年に一度の大雨に備えるなら、ダムでなく河道の整備などで可能ではないかというよな議論もでているのだ。そうしたことから、地域住民は移転に反対し、住む場所を離れようとしない。そうこうしているうちに、ダメ建設が持ち上がってから50年以上たっているのに、まだ、県や佐世保市は建設にこだわり、強制執行で地域住民を立ち退かせようとしている。そうした権力の横暴に対して訴訟となり、ダメ建設反対の弁護団が結成され、強制撤去と対峙しているのだ。

 地域住民はダムの白紙撤回を求めているが、県や市は地域住民との話し合いを持とうとせず、権力をかざして何としてでも、ダムを建設しようと考えている。県や市の担当者は次々に代わっているらしいが、行政内部で事務的に引き継がれ、ダム建設は既成事実化しているようだ。 だが、住民はそこで暮らし、そこで生き続けている。一度決まったことは何があっても変わらないのが日本の現実なのかもしれない。 




 

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