2020年、GDP600兆円―2.2%の成長に意味があるのかどうか

今の経済状況はどうなのだろう。景気はいいのか悪いのか。安倍首相は口癖のように景気が上向きつつある、と言うが、言葉通り信用できない。安倍内閣は第3回目の改造人事を行い、アベノミクス「新第3の矢」を発表した。その一つが、2020年をめどに名目GDP600兆円を目指すという。
 それで、そのことが可能なのかどうなのかについて自分なりに検討してみた。

 2020年度にGDP600兆円を目指すと言うが、果たして、どれくらいの成長率なら2020年度に600兆円になるのだろうか。内閣府資料によると、2014年度(平成26年度)のGDP(国内総生産)は、実質525.9兆円(前年比-0.9%)、名目490.8兆円(前年比1.6%)である。

 それで、私の悪い頭で計算してみると、実質GDPの場合、2014年度のGDP(525.9兆円)を基に計算すると、6年後になるので、率をXとして525.9兆円*(X)*(X)*(X)*(X)*(X)*(X)=525.9兆円*(X)6乗=600.0兆円。(X)6乗=600/525.9=1.1409 X=1.0222となり、2.2%程度の成長率で達成できることになる。

 では、毎年、6年間2.2%の成長は可能なのかどうか。経済同友会代表幹事の小林氏は「ありえない数値だ」と疑問視している(朝日新聞10/9記事)。安部首相が言っている数値は、名目GDPらしいが、今回は実質GDPで、2.2%という数値がどういうものか見てみたい。

下のグラフは、内閣府からとった数値を、私がエクセルでグラフ化したもので、少し見にくいが、2000年度から2014年度までの実質GDPを、縦棒はその生産額を、折れ線グラフは前年比を示している。2008年のリーマンショックで前年比-3.7%下がったGDPはその後徐々に回復したが、その後、2011年には東日本大震災により、前年比0.4%に落ち込み、また、回復したが、2014年度には消費税が8%に増税され、再び前年比-0.9%に落ち込んだ。結局、2014年度のGDPは2007年度(525.4兆円)のリーマンショック前の水準と同じレベルにとどまっている。

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 下のグラフは、4半期別のGDP増加率で、2011年1-3月期から2015年4-6月期を表している。グラフが見にくいが、2014年4-6月期は前期比-1.6%の落ち込み、7-9月期は-0.7%、落ち込んだ。これは8%の消費税増によるもの。しかし、10-12月期は0.4%の回復、2015年1-3月期は1.0%まで上昇した。しかし、今年の4-6月期は再び-0.3%減少した。これは、消費支出が増えなかったためとみられている。7-9月期はまだ発表されていないようだが、少し回復基調にあるようだ。

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こうして、見ていくと、GDPが増加していくには、消費が増えないと難しいようだ。そうするなら、今後、2017年に消費税が10%に増税されることを考慮に入れると、再び、消費支出が落ち込むことが予測される。年2%の成長は頭で考えればたやすそうだが、現実は難しいといえるだろう。

 そして何より、一体経済成長を毎年2%に目標にする意味合いは何なのだろう、と思う。今の社会の問題点は、長時間労働、すなわち残業代のつかない残業、差別化される労働、すなわち正社員とそうでない契約社員や派遣、パート、アルバイトの固定化。将来への年金不安。一億総活躍担当大臣が置かれるということだが、国民の意識とずれた政府のものの考え方。

 こうしたいろいろな国に内包する問題をそのままにして、経済成長至上主義では、国民の心が政府から離れるばかりだ。そのことの問題も大きい。


参考資料:
内閣府ホームページ>国民経済計算(GDP統計) http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
(実質GDPと名目GDPの違い:内閣府の資料によると、名目値とは、実際に市場で取り引きされている価格に基づいて推計された値。実質値とは、物価の上昇・下落分を取り除いた値。名目値では、インフレ・デフレによる物価変動の影響を受けるため、実質値で見ることが多いという。)

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