アベノミクスから、実体経済をよくする産業・生活基盤づくりへ

アベノミクスとはどういうことなのだろう。これは成功しているのかどうか。私としては、金持ちは喜んでいるが、貧乏人は苦労している、つまり格差がさらに開きつつある政策、というのが実感だ。こういう政策を続けていていいのか。それへの一つの回答が、今日の朝日新聞のオピニオンページに掲載されていた、佐伯哲思京都大学名誉教授の「アベノミクスに欠けるもの」という文章だ。

 佐伯氏の考えを要約すると次のようだ。

 「元になる資本が増殖し、資本が我々の生活に役立つモノの生産やサービスの提供をもたらせば問題はない。だが、これが金融市場を回るだけで、例えば、株や為替の投機などによって元になる資本が増えるとすれば、困ったことである。」

 「現在、多くの中央銀行は自国通貨を金融市場へ供給し、景気を支えようとしてきたが、供給された貨幣が長期的な研究開発や設備投資にまわって生産を活性化するというより、まずは金融商品へ向かって投機的利潤を生みだしている。それでは金融市場は活発化するが、実体経済はよくならない。」
 
 「アベノミクスは脱デフレと景気回復を掲げた。なんでもありの、いわゆる『異次元的金融緩和』は一定の成果を上げた。しかし、そのことはさらに過剰な貨幣供給もたらし、投機資本に餌をばらまくという危険とも隣り合わせであったのも事実だ。株式市場は値を上げ続け、それが景気を刺激したとしても、我々の生活をよくしたのか、となれば、簡単にうなずくわけにはいかない。」

 「そもそも景気が十分に浮上しない最大の原因は、日本はすでに資本も生産能力も過剰となっている点にある。日本社会は少子高齢化・人口減少へと向かっている。こうした社会においては市場はさして拡張しない。つまり、いくら生産しても、それを吸収するだけの十分な需要が発生しないのである。」

 「重要なことは、ただやみくもに貨幣を供給することではない。その貨幣をグローバルな金融市場への投機筋の餌にすることではなくて、逆に投機筋から守ることである。異次元的な資金を、国内の長期的な産業基盤や生活基盤として、国内で循環させることが重要である。しかも、これらの長期的な産業基盤や少子高齢化へ向かう生活の基盤づくりは、即効の利益を生み出すものではない。」

 「政府が一定の将来ビジョンの下で、その資本の行き先をある程度、指示することが必要となるであろう。短期的な市場の成果主義ではなくて、長期的な公共政策が求められているのだ」。

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