考えれば、何と不思議な存在なのだろう。今は彼岸花が盛りだ。タンポポに似た黄色い花を咲かせる花もある。多くの植物はその生命で、人間や牛やそのほかの動物を養っている。その生殖機能を受け持っているのが花であり、一方で世界を美しく見せる役割も果たしている。人が死ねば、どうなるのか、それはわからない。死ねばお寺さんが呼ばれ、お経を読み、棺に遺体が置かれ花を添えて、霊柩車で運ばれ、火葬され、灰になる。死後、極楽浄土に行けるか、地獄か、あるいは生まれかわるか、それはわからない。しかし、生を授かり、生を明け渡すときに、花が添えられるということは、再び生命を得られるという、希望、あるいは約束とは考えられえないだろうか。棺に多くの花を添えることは、仏事であるけれど、生と言うものの再生を願っているとも受け取れる。
仏教というものの奥深さを感じられる、花を供えるという行為だ。
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