鬼怒川決壊、1か月半後の専門家の指摘(朝日新聞より)

今日の朝日新聞オピニオンページの私の視点欄に、河川工学が専門の京都大学名誉教授今本氏の鬼怒川の河川氾濫について、専門家から見た簡単な感想が寄せられていた。この感想文の概要を紹介したい。

 文章では、今回の氾濫から、4つほどの問題点を指摘している。

 その一つは、ダムの治水には限界があるということ。鬼怒川には4つのダムがあったが、ダムより下流15キロ地点では、水位を2.7m低下させたが、さらに100キロ下流の破堤地点では、0.3mしか下げられず、越水や破堤を防げなかった、と指摘している。このことについてのデータは示されていないが、私の解釈では鬼怒川のように、関東平野を流れる流域面積の大きな川では、周辺地域から集まる雨水が、上流の雨水をダムで止めても、100キロメートル以上下流では、ほとんど効果を示していない、ということだろう。ダムは山岳地帯であり、破堤したところは田園地帯だ。ダムの限界を知る上でも、大事な視点ではないだろうか。

 次に、堤防整備の遅れが被害を招いた、と言っている。つまり、河川管理施設構造令では堤防の高さを、安全に流せる「計画高水位」に余裕高1.5mを加えた高さのものにする、と定められている。にもかかわらず、破堤した三坂町では、計画高水位の余裕1.5mがなく、最大で1.17mしかなった、という。構造令通りに整備されていれば、越水や破堤は起きなかったかもしれない、と言っている。

 このことについて下館河川管理事務所のホームページを調べてみると、記者発表資料に、こうした構造にするべく、順次整備中であったこと、また、破堤した三坂町地区500m区間では、施設計画上の堤防高さに対して、約0.25m~約1.4mの間で、おしなべて低い状況でした、と釈明している。

 計画高水位と言う言葉は、僕は初めて聞いたが、例えば、この水位は水位観測所における基準値とどういう関係があるのだろう。鬼怒川水海道観測所では基準値から1.50mが水防団待機水位であり、3.50mが氾濫注意水位、5.30mが氾濫危険水位と決まっており、今回最大8.06mまで水位が上昇したが、 それとは別の堤防の設計上の数値なのだろうか。この数値が、法律で定めらたものより低く、そしてそれを順次整備中と弁解するなら、国土交通省が法律違反を長年放置してきたと言われたも仕方がないのではないだろうか。
 今本氏はこうした不完全堤防は全国で1600キロメートルある、と指摘している。

 次に指摘しているのは、浸水危険地の乱開発だ。滋賀県では土地利用の規制を盛り込んだ流域治水を普及させているという。つまり、一定の洪水規模を想定して対策を立てても、計画を越える洪水は今後も発生し続ける。『非定量治水』に転換しなけれ同じことが繰り返される、と述べている。(個人的注:滋賀県では「滋賀県流域治水の推進に関する条例」が平成26年から施行されている)

 最後に、災害時の対応の混乱が被害を拡大したとしている。この混乱については、僕もこのブログで取り上げている。それは、下館河川事務所が常総市や県庁へ的確で、迅速な情報を出したのかどうか、という点だ。最も鬼怒川の河川状況がわかるのは下館河川事務所だ。日頃から、いろいろな状況を想定していたのかどうか、そうしたソフト面が問われると思う。

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