木村草太氏が語る「存立危機事態条項」に多く含まれる曖昧さ、不明確さ、違憲性

安全保障法制について13日(月)に開かれた衆議院での中央公聴会で、野党推薦の木村草太・首都大学東京准教授が述べたことを再度確認したいと思い、その新聞記事を抜き出した。

朝日新聞の14日朝刊に公聴会で述べた短い文章が載っている。
それは次のようである。
「存立危機事態条項(武力行使の新3要件)が、仮に日本への武力攻撃の着手前の武力行使を根拠づけるものだとすれば、明白に違憲だ。政府が「我が国の存立」という言葉の明確な定義を示さないために、不明確なものになっていて、そもそも違憲の評価を受けるだろう。あいまいなままでは国民は法案の適否を判断しようがない。これでは政府に白紙委任するようなもので、法の支配の危機だ」

一読しても頭にすっと入ってこない。法案に反対していることはわかる。詳しくはわからない。それで、今回も自分なりの解釈を試みた。
「存立危機事態条項(武力行使の新3要件)が、仮に日本への武力攻撃の着手前の武力行使を根拠づけるものだとすれば、明白に違憲だ」

【武力行使の新3要件】
1、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること(存立危機事態)
2、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、
3、必要最小限の実力行使にとどまるべきこと

これまでの考えでは、日本への武力攻撃があって初めて自衛権が発動されるというものだった。日本への武力攻撃なしに、相手方へ武力攻撃ができるというその根拠が、新3要件(存立危機事態条項)だというなら、これは明白に違憲だ、と木村氏は言っている。

「 政府が「我が国の存立」という言葉の明確な定義を示さないために、不明確なものになっていて、そもそも違憲の評価を受けるだろう。」

なぜ、違憲なのか、についての先の文章の説明だろう。それは新3要件が武力行使の根拠であり、その3要件を構成する条文に、「我が国の存立」という言葉についての明確な定義が示されていないから、不明確になっている、としている。そのことによって、違憲の評価を受けるだろう、としている。

この「我が国の存立」という言葉は、新3要件の1番目にこう記されている。「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由・・・権利が根底から覆される明白な危険があること」

「我が国の存立」とは、どういうことなのかと言う明瞭な定義はなくて、他国に対する武力攻撃で、我が国の存立が脅かされる、と定義されている。ほとんど、定義にはなっていない。こうした不明瞭な言葉で、自衛権が発動されることに対して、"違憲の評価受けるだろう"と結論付けたのだろう。

つまりこの法案は、こういうことを言いたいのだろう。「他国への攻撃が発生することで、我が国の存立が脅かされる」という論理。しかしなぜ、我が国への直接の攻撃でなしに、他国に対する攻撃で、我が国の存立が脅かされるのか、というその論理性が不明瞭だ。つまり、この法案は、一番肝心な点が欠落しているのだ。そのあとに続く言葉「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」も、なぜ、他国に対しての攻撃が、明白な危険に結ぶつくのか、不明瞭なままだ。

つまりこの法案の文章では、(他国への攻撃)=(我が国の存立危機)として、武力行使を容認する論理としている。
しかし、これまでの日本政府の専守防衛の論理では、自国への侵害を持ってして、武力の行使が可能としてきている。

だから、この文章だけからするなら、これまでの論理を何ら説明することもなく,あるいは無視して180度転換しているばかりでなく、武力行使の歯止めが無く、米軍の戦争等に我が国が存立危機だと認定すれば、いくらでも武力行使が可能となる。

あいまいなままでは国民は法案の適否を判断しようがない。
だから、こうした論理的に矛盾し、なぜ、他国に対する武力攻撃が日本の存立危機になって、自衛隊が武力の行使を行うのか、あいまいなままでは、国民は判断がしようがないと言っているのだろう。

「これでは政府に白紙委任するようなもので、法の支配の危機だ」
法案そのものに、これまでの法の秩序の無視や自己矛盾、論理性の欠如がみられるので、これが法案として通過すれば、社会に法を守ろうとする気持ちが徐々になくなり、権力者の言うがままの力の強いものに従属する、政府に白紙委任するような、社会になる可能性があり、法の支配の危機だと、言っているのだろう。

結局のところ、木村氏は「存立危機事態」と言う概念やこの概念を含む法案に、武力行使を認めることの矛盾や危険性、論理の飛躍、法秩序の破壊を見て取ったのだろう。


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